7/9〜気がかり〜
今日は家族三人とも朝の八時台には家を出てしまう日だった。
最初に家に帰るのは母だが、それでも十八時になる予定だった。
こういう日は緊張する。犬が独りになってしまうからだ。普段はあまり考えないような不安が心に浮かんでくる。
急にエアコンが切れて部屋が高温になったらどうしようとか、急に発作が起きて助けてほしいのに独りだったらどうしようとかだ。
だから、仕事中は不安だらけで変な心地しかしなかった。
せっかく、おうちに来たのに変なトラブルがあったりしたら最悪であるし、ましてや誰もいない時だったらやりきれない。
そんなことでソワソワしながら、早く時が過ぎないかと気になっていた。
十八時に母に連絡を入れて特に大丈夫だったと聞いてホッとした。
全く、ホッとしたり不安になったりの繰り返しである。
普段は電車の中で新書を読んでいるのに、気が散ってしまって読めない。
まぁ、しょうがないか。
そして、今日は私がロシアにプチ留学していた時の友達と飲む日であった。
本来はサウナに泊まるはずだったが、犬の事情を話して途中で帰ることにしてもらった。
久しぶりに再会し、ラーメンを食べて居酒屋であれやこれやと語った。一瞬だけ犬のことから離れてリラックスできた。
深夜に帰宅し犬の部屋を覗いた。
いたって普通の表情でこっちを見てる。
かわいいものである。
普段は完全に寝ているのだが、時々むくっと起き上がって色々見ている。
とりあえず、今日は終わった。明日も私は朝から夜中までいないのだけど、母が休みなので母にバトンタッチだ。明日はこの犬をくれた人が様子を見に来るという。なんて言われるのか少し不安だ。
ポッキー、今日は朝早くからみんないなくなっちゃったよね。寂しかった?
もちろん、寂しいよね。ごめんね。
でも、何をして一日過ごしてたの〜??
LIVEカメラでも設置しようかなーってオレは考えてたよ。
でも、考えてみたらポッキーが元気だった頃って散歩する時以外はそんなに一緒にいてあげられなかったよね。ポッキーはいつも独りだったのかも。
皆、忙しいのを言い訳にあんまりそばにいてあげなかった。
たまーに寂しそうな表情でこっちを見てくることがあったよね。多分寂しかったんだよね。今更、許してなんて言えないけど、その代わり今はできるだけ多くの時間に一緒にいるね。
あと、明日は春日さんが来るらしいよ。ポッキーのこと見たいんだって。他の兄弟たちは元気でやってるのかな?
ポッキー、明日も元気でね!
7/8〜安心と不安〜
退院して最初の夜が過ぎた。とりあえずはお家でのんびりしているし、問題なさそうだ。
基本は寝転がっているが、移動しているらしく部屋の中はいつもぐちゃぐちゃになる。
かわいいもんだ。
毎回、抱っこしてベストであろう位置に置いておくのに十五分も経てば別のところに移動している。
意外と呼吸は荒い。本人はやはり病気と闘っているようだ。
朝、父と二人がかりで点滴をした。父に犬を抑えてもらい、その間に私が点滴を用意し首元にブスッと刺すのだ。
点滴の針は予想以上に太くて、痛くないのかと思うが昨日刺した時は全く大丈夫そうだった。
皮が厚いと痛くないのか〜。よくできてるなーなんてこと思いながら今日も首回りの皮を浅くつまんで刺したら、全身がビキって動いた。痛かった模様。
もっと思いっきり皮をつまめばよかった。
点滴が終了したら母親にバトンタッチして仕事に行った。とりあえずは一安心である。
ただ、問題は夕方になって食べ物を食べてくれるかどうかだった。
病院では全く食べなかった。おそらく環境が嫌だったのだろう。おうちに帰ったらリラックスするので食べるかと思ったが、結局食べなかった。
食べなくなって六日目である。水はよく飲むのだが。心配になった。
ただ、人間ですら食べ物なしでも結構生きられるからまずは水分が大切だと思った。
食べたくないなら無理しなくて良いし、むしろこっちが試行錯誤する方が大切だ。
ポッキー、我が家は満喫してるかい?
親から聞いたけど、今日は三十分も散歩に行ったんだって!?
長すぎじゃない!?笑
心臓に負担がかかるよ笑
でも、ポッキーは外が好きだよね。この時期はエアコンがついた室内にずっといることも多いけど、何だかんだ外が好きでしょ!
外の空気は新鮮だし、トラックの音や子供達の声で賑やかだし良いよね〜♪
ちょっと大げさだけど、自然って悪くないよね〜。時には雷雨もあるし風が強い時もあるけど、やっぱりお外で自然の空気を吸うって最高だ!
人間は便利さのために色々な建物を作ってその中にいるけど、やっぱりお外もいいんだよ。ポッキーのおかげでオレも動物なんだって気づいたよ。
普段は涼しいところで休んでていいけど、大好きなお外も残りの時間でたくさん行こう!
あと、今朝の点滴ごめん!刺した時、ポッキーの身体がビクってなってたよね笑
「イテッッ!!!」ていう心の声を聞いたよ笑
明日は気をつけるね〜!
7/7〜退院しおうちへ〜
土曜日だ。待ちに待った退院の日だ。
どんな姿で退院してくれるのかなぁとやはり不安だった。
職場に遅く行く旨を伝えて、父と病院に向かった。近いけど帰りは犬が歩けないと思い、車で行った。
受付をして外で待った。これからどうやって消えゆく命と向かいあおうかを色々考えていた。
名前を呼ばれ、受付の方へ向かうと奥の診察室が見えて、診察台の上にうちの犬がいた。目が合って、ずっとこっちを見ていた。
飼い主が少し離れたところにいるのが不思議だったのだろう。変な顔をしてこっちを見ていた。
診察室に行き、皮下点滴のやり方を習った。そんなに難しくないなと思った。基本は二人でやるものだが、一人でできそうだ。というよりも、やれることは何でもやりたいと思っていた。何よりも食べ物を食べることが大切だということだった。頑張りたい。
一旦、お会計のために受付の方へ戻った。担当医と看護師さんが犬を抱きかかえてリードをつけ、首にバンダナを巻いてこっちに一緒に歩いてきた。
久しぶりの再会である。素直に嬉しかった。
正直、ここの動物病院のスタッフには頭が上がらない。みなさん若いのに、本当に動物が好きで一所懸命ケアしてくれる。
お会計も思っていたよりも全然安かった。
犬は自由になったのか、歩き回っていた。二日前の絶望的な表情が嘘みたいだ。
一応、車に乗せておうちについて部屋に入れた。リラックスしていた模様。
夕方、散歩するとゆっくりだが足取りはしっかりしていた。オシッコもしてくれて一安心。
あとは、なるべく多くの時間を一緒に過ごしてあげようと誓った。
その日は散歩に三回も行った。率直に言って行き過ぎだ。心臓に負担がかかる。でも、本人も行きたいらしいからまぁいいかな。
とにかく、これからが大切かな。
でも、食べ物は食べなかった。すぐ避けてしまう。こっちも一所懸命考えて何とか食べさせねば。
ポッキー、今日やっと退院できたね。おめでとう!
受付に行った時に目が合ったね!なんか、「おやっ!?」て顔してこっちを見ていたよね。
看護師さんから点滴のやり方を学んで、受付で待っている時にポッキーがこっちまで自分の足で歩いてくるって勘付いたよ。診察台から降りて、先生と看護師さんの前を歩いてこっちに向かってきた時、オレ、本当に嬉しかった!もう、この喜びほどのものはないんだなって思えるくらい嬉しかったんだよ!首につけてもらったバンダナもめっちゃかっこいいじゃん!あの瞬間、写真にしてもよかったかもね。
先生やスタッフにも感謝だよね!みなさんのおかげで、オレもポッキーのために何でもしてあげなきゃって強く思えたんだ。
本当、いい人達に恵まれたよね!あとは、ダメな飼い主であるオレにも時間をくれて本当にありがとう!残りのポッキーとの一緒の時間、いれる限り一緒にいるね!
おうちについて車から降りた時に、お家にすぐ向かわずに草むらに入ってオシッコしてたよね。近所を満喫してから何とか部屋に入った。でも、はしゃぎすぎて疲れてたでしょ!?やっぱり性格は変わらないね〜笑
とりあえず、何か食べられるようにこっちも色々考えるね。
7/6〜 一喜一憂〜
昨日、想像以上に悲痛な表情に見えた犬に今朝も面会するのだが、すごい緊張感に包まれている。
昨日のような状態なら、退院前に亡くなることもありうるからだ。
職場に連絡を入れて遅めに出勤する許可をもらった。ラフな格好に着替えて病院に行った。
柵を開けると、顔を上げてこちらを見た。そしてまた脱走を図った。
表情は昨日よりもよくなっていた。
とりあえず、ホッとした。
ただ、ご飯を全く食べないらしい。もう食べなくなって四日目だ。
看護師さんも心配してくれていた。散歩をするとオシッコをするらしい。
外の方が安心するのは看護師さんもわかってくれているようだった。本当にありがたい。
確かに、ご飯を食べないのに力一杯脱走しようとするということは、それだけ外の方が居心地が良いのだろう。
病院は嫌いっぽい。
ひとまず安心である。なんか最近は一喜一憂している気がする。
とりあえずは仕事に行かなくてはならないので支度をして仕事に行った。一応、母にも夜に面会に行くように頼んだ。
急に体調が悪くなったりする可能性もあるからだ。せめてあと一日生きて欲しいと願った。
仕事中もあまり集中できなかった。ソワソワしていた。夕方に心配になって母に面会したかと尋ね、面会時の写真をもらった。ひとまず元気そうで安心した。
マジで今日は緊張したよ。朝、ポッキーが瀕死の状態だったらどうしようってずっと思ってた。部屋に入る時、床を這いつくばっていたらどうしようって思っていたんだ。でも、大丈夫だったね。本当に安心した。
でも、油断できないって思っていたよ。とりあえずは24時間後の退院を願ったんだ。
お母さんからの写真で元気そうな姿を見て涙が出たよ。良かったーって!
明日、退院しておうちに帰るのを待ってるよ!残りの時間を見慣れた場所で過ごそうね!うちら家族も全力で気遣うから!是非、お世話させておくれよ!
7/5〜絶望〜
昨日、最後の方に元気な姿を見せてくれた犬がもっと元気になってれば良いなと思いながら、朝十時に病院に向かった。
この日は休診日だが、面会は普通にさせてくれる。病院の方針に感謝だ。
スタッフさんはかなり世話をしてくれたと思う。しかし、夜から朝にかけて下痢と嘔吐を繰り返していたらしい。
朝、面会したら少し痛々しい様子だった。
ぐだーっと寝そべっており、あまり元気がない。
ご飯も食べてないとのことだから、余計に心配だ。
獣医さんと話して、ステロイドを投与してもらうことに決めた。これが最後の望みである。効いて欲しい。
少しでもいいから元気になって欲しいと思っていた。退院の日は土曜日にしようかと医師と決めた。それまでにおうちで迎える準備をしなきゃとのことで。
少し意気消沈して病院を後にし、色んなものを準備すべくイオンに行った。
うちの犬は外で飼っていたから、夏だと動けないわバテるわで寿命がさらに縮むので室内に入れないといけない。幸い、母屋の隣に小さいエアコン付きの部屋があるのでそこに入れることに決めていた。
イオンでいろいろなものを買った。この際、お金はあんまり気にしなくても良いなと考えた。
自分にできることは全てしようと。そうじゃないと一生後悔しそうだった。
イオンで父と食事をした。美味しいはずのハンバーグだったが、もう食べられない犬のことを思うと涙が出てきた。そして、そこまで美味しさも感じなかった。
犬の専門店でいろいろなものを買って、おうちに準備をした。
まさか病院で死なないよな。そうだったらやりきれない。そんなことばかり考えていた。
さっき、ポッキーちゃんを見て、もう泣きそうだったよ。苦しそうだったし、なんとか生きるのがやっとな状態だね。
きっと苦しいよね。本当はご飯も食べたいのに、今は食べられないんだね。そう考えると本当に辛いよ。少しでもステロイドが効いて痛みが緩和されてほしいなー。
動物として生まれて、生きるための食べるという行為ができないのは本当に苦しいと思うよ。
多分、食べる気もないくらい気持ち悪いのかな。今はポッキーに対して申し訳ない気持ちしか出ないよ。
ポッキーも強いから悲痛な声をあげずに独りで頑張っていたんだね。本当に飼い主として心苦しい。
一応、ポッキーの退院が決まったしおうちも用意できたから、せめて土曜日まで頑張ってほしいな。じゃないと、本当にやりきれない。
少しでも罪滅ぼしさせてよ。ポッキーの好きなエアコンをガンガンつけて涼しい部屋にしておくから、待ってる。信じてるよ。
7/4〜悲劇〜
朝、動物病院の時間を調べて午前の受付が正午までだと知る。十時の時点で犬をシャンプーすべくリードを出す。リードを見ると犬は散歩したくてたまらないようだった。
とりあえず外の水道場に行き、まずは体をすすぐ。約一年ぶりの体洗いだ。シャンプーをつけて泡立てる。二回くらい洗った方がスッキリするかなと思い、一回目はテキトーにゴシゴシ洗う。首のあたりが白い毛なのでそこを洗っていた時、パタンと犬の力が抜けて横になったまま動かない。目はしっかり見開いているのだけどこちらが呼びかけても反応しない。
パニックになった。これ、相当やばい状態なのではないかと。急いでシャンプーを流して抱きかかえて起こした。なんとか立っているが足が震えている。父に伝えとりあえず体の水滴を取る。一刻も争うような事態だと思った。とりあえず動物病院に電話を入れる。パニックなのに、なんとか冷静に会話した。父と協力してまだあまり乾いていない犬をケースに入れ車に積んだ。病院までは歩いて五分もかからないが歩ける状況じゃないと判断した。十一時前に受付をした。待っている間、やはり犬は力がないようで床に突っ伏していた。
動物病院には他にもたくさんの患者がいた。呼ばれるまでしばらく時間がかかると思ったが、思いの外早く看護師さんが来てくれて犬を抱きかかえて奥に連れて行き診察してくれた。
そこからは気が気じゃなかった。もう死んじゃうのかとずっと考えていた。十分後くらいに看護師さんが来て「心臓の音が小さいです。引き続き先生と検査します」と伝えられた。
あー、もう死ぬんだと考えていた。とんでもないことをしてしまったと。
そこからどのくらいたったのかは覚えていないが、診察室に呼ばれて獣医さんと話し合った。まず一点目、フィラリアで結構増殖していると。
これはまずいなと思った。フィラリアは百パーセント飼い主の責任である。飼い主が悪いのだ。
そして二点目、これは意外だったが腎臓の値が極端に悪いとのことだった。これは知らなかった。とりあえずもう少し詳しく検査ということで夕方に来てほしいと知らされた。
その間ご飯とかを食べたが、あんまり美味しくなかった。検査結果を聞くのも怖かった。
夕方に病院に行き、待ち時間わずかで呼ばれた。
そこで衝撃の事実を知った。
腎臓が機能しておらず膀胱にも問題があり、前立腺が炎症していると。おそらくガンの可能性が高いとのことで、フィラリアとか置いといてこの状態だと一ヶ月や一週間くらいしかもたないだろうとのことだった。
腎臓は片方がオシッコで完全に埋まっていて、膀胱までの管さえオシッコでパンパンに膨れ上がっていた。オシッコで毒素が排出できないからそれが身体中に回ってだるさや吐き気を促している。なんとかしてオシッコを排出するのを待つばかりな状態だ。
それを聞きながら涙がこみ上げてきた。犬が後わずかで死んでしまうなんて。
とりあえず今は点滴中でケージに入っているとのことで見に行った。
そしたら思っていたより元気になっててケージから脱走しようとしていた。
一旦、入院して様子を見ましょうとのことで目に涙を浮かべながら帰路に着いた。
ポッキー、朝にポッキーが倒れた時、オレ、パニックになったよ。
本当に焦った。やばい!ポッキーが死んじゃう!って本気で思ったよ。
病院に着いても、ぐったりしているしもうダメだと思った。
しかも、フィラリアだったとは本当にごめん。飼い主失格だよ。最低な
飼い主だ。
あと、腎臓のことももっと早く気付いてあげられなかったのもごめん!勝手に老衰かと思っていたんだけど、そうじゃなかったんだね。病気と闘っていたんだ。表に出さずにずっと隠して闘っていたとは。本当にかわいそうなことをした。
残りの時間があとわずかって聞いた時は寂しくて申し訳なくて涙が出たよ。今は、ただただごめんね。
でも、夕方行った時元気になってたね。明日の朝にまた来るからそれまで頑張って!
オレに時間をちょうだい!!
7/3〜病院へ行こうか〜
今日はご飯を全く食べなかったポッキー。いつも好きなはずのお肉も入れたのに全く口につけず。
夜に父とポッキーの様子を見ると、少し呼吸が荒い気がした。少し苦しそうだ。
ここ最近、散歩中に飼い主よりも前を歩かなくなったし途中で止まってしまうことも目立った。急に老けたなと思ってた。年齢も13歳だし人間でいえば七十歳くらいだからこんなものなのかなーって。
でも、一応明日動物病院に行ってみようと父と話し、病院に行く前にシャンプーしなきゃねと話してその夜は終わった。
ポッキー、とりあえずご飯食べないけど明日病院で診てもらおう。病院に行くのは久しぶりだね。ちょっと苦しそうだから検査してもらおうね。